つかのま。

読書と日々考えたこと

読書体験を最高にするための儀式


これは昨日食べた星乃珈琲のスフレパンケーキ。

昨日はパンケーキを絶対食べると決めていた。なぜなら図書館で"Nate the Great"シリーズを読むと決めていたからだ。

ハードボイルド(風)探偵Nateの大好物はパンケーキ。ちらりと見かけていた感想からパンケーキが食べたくなる本だろうなと予想がついていたので、図書館に行く前に先んじてパンケーキを食べていたというわけ。ちなみに大正解だった。


こういう風に、読書体験を最大限最高にするための儀式のようなものをするのが好きだ。儀式のように本を読むのも。


一番シンプルなのは今回のNateとパンケーキのように、作中に出てくる食べ物や飲み物を用意すること。

例えばThe Thiefを読んでいた間はどうしても食べたくなってオリーブの瓶詰めをわざわざ買ったり、朝食をヨーグルト・パン・チーズで固めたりしていた。

ただしこの方法は作品によってはぐっと難易度が上がる。例えば『月神の統べる森で』を読むとジビエかドングリやユリ根が食べたくなるが、なかなか気軽には揃えにくい。レイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』もたんぽぽお酒ってどんな味なんだろう…とずっと想像している(ただしこの作品はアイスクリームやレモネードでも最高になれる)。

作中に特に印象的に出てくるわけではなくても、「この作品を読むときはこういう飲み物を合わせる」みたいなペアリング(?)もあったりする。DWJ作品、特にクレストマンシーを読むときはサンドイッチとミルクココアか紅茶がいい。ル=グウィンを読むときはなんとなくコーヒーが良い。長野まゆみ作品はサイダーの気分になりがち。

ル=グウィンの『ゲド戦記』『西のはての年代記』を読むときは、ついつい環境にこだわりたくなる。季節は冬がいい。座り心地の良い椅子の上に身を丸めて、毛布を巻き付けて、サイドテーブルにコーヒーを置く。静かにイヤホンで手嶌葵の歌をかける。外は曇り気味がいい。特にゲド戦記は沖縄で読むのと関東で読むのとで体感が違う、多分きっと潮の気配のせい。


儀式的に読む本の代表がレイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』だ。この本は夏の間に読むのが一番良い。エアコンを入れない暑さの中で、汗をかいたレモネード、合間合間にアイスクリーム。少しずつ読み進めるのが一番最高だろうけど、だいたいいつも夏の終わり頃に読んでいる。ダグラスといっしょに夏を終わらせる儀式をするのだ。ブラッドベリは他にも10月頃に読みたくもなる。



あまり儀式をガチガチにやろうとしすぎると逆に本が読めなくなってしまうのでほどほどにしたいなとは思いつつ。この読書の体験づくりがぴたっとハマった時、なにものにも代えがたいしあわせがある。