つかのま。

読書と日々考えたこと

ヴァンサン・ゴーセール(他)『道教の世界:宇宙の仕組みと不老不死』

墨香銅臭作品を読むにあたって、道教的な背景知識をもう少しわかっておきたいなと思って図書館で借りてきた本。

写真や図版が多数掲載されており、古代から現代に至る道教の概観についてさらっと雰囲気をつかめる入門書。

あまり個々のトピックについての深堀りはないが、ざっくりと全体感はつかめたと思う。

著者がフランスの人ということで、西洋的な視点から書かれている部分もあるのかなと思う。日本(とくに沖縄)だとなんとなく感覚的に近しいものがあるんだけど(例えば土地神なんかは土帝君か、とわかる)、もう少し俯瞰的というか。そういう意味でも入門書としては良かったかも。



特に印象的だったのは最後の方に載ってた『茅山志』の徽宗のお手紙がなんだかよかった。徽宗自体が元々歴史上人物として印象的な人だったというのもある。機会があればこのあたりもうちょい深堀りしておこう。



並行して『天官賜福』を読んでいた。こちらは『魔道祖師』よりも道教ベースの事物が多めに出てくるが、この本を読むとなんとなく解像度があがった気がする。例えば霊文がたくさんの文書に囲まれてるのは、信者からの祈願が文書の形式で届けられるからなんだなぁ、とか。廟と道観についてとか。道教の「神」の感覚とか。



道教関係ではもう一冊詳しめの本を借りているのと、岩波文庫の『老子』を買った(太子殿下が時々道徳経の名前を出すから…)。ちまちま読んでいく。