つかのま。

読書と日々考えたこと

【英語多読】Oxford Reading Club(ORC) でOxford Reading Tree(ORT)を読んだ

2月の1ヶ月間、Oxford Reading Clubに課金してORTを読んでいたので、その所感など。

英語多読界隈では(多分)みんなご存知、ORT。イギリスのネイティブの子どもたち向けのリーディング教材シリーズ。

SEGのサイトなどでもここから始めるのを推奨されていて気になっていたが、自分で買うには少々お値段が張りすぎる。いつも使っている図書館には蔵書があったけれども禁帯出だし、1冊1冊がごく短いので借りれたとしても頻繁に入れ替えなきゃで面倒だしなぁ、というのがネックだった。

そんな私にはORCはぴったりだった。

Oxford Reading Club | Oxford University Press

ORCは、ORTをはじめとしたオックスフォード出版局のリーディング教材が読み放題になるサブスクサービス。

1ヶ月ライセンスなら990円。キッパーたちのシリーズのORTだけで300冊近く読めるのに、安い…!!

しかも紙だと別売りの音声シールやら音声ペンやらがないとリスニングはできないけど、ORCならアプリ上でリスニングもできて990円。お得すぎ。

「1ヶ月間だけ課金してORTを読破する」を目標にスタート。

毎日コツコツ通勤のバスで読み、2回行った旅行の飛行機で読み…。

無事に読み終えられました。1ヶ月でいける。

流石に時間はなかったので結局リスニングは使わず、リーディングセクションだけをザクザク読み進めた。きちんと全カリキュラムやったら確かにいい勉強になりそう。

スマホだと見開きで見れなかったりしてよみにくいので、タブレットなんかが最適かも。

ORT以外ではOBWのレベル2くらいを読んでいた時期だったから、今更ORTレベルを読んでも…とも思ったものの、GRよりも自然な印象の英語で読みやすかったし、単純に絵本としてもクスリとできる感じで面白かった。MTHより好きかも。

後半のレベルは読み応えもそれなりにありつつ、ページ数はすくないのでサクサクと読めるのもいい。気がついたら300冊弱、累計語数もORTだけで10万語を数えていた。これだけ読めたんだ!という自信につながる。多読の最初期おすすめ本とされている意味がよく分かる。

ORCで読むORT、かなりおすすめしたい。

【台湾旅行:2泊3日】台北王道旅

ずいぶんお久しぶりのブログになってしまった。

書けなかった間に2記事ほどはてな編集部にピックアップしていただいていたみたいで、急にアクセスが増えていてびっくり。

インターネット上の独り言みたいなブログだけれども、誰かが読んでくれているのを感じると嬉しいものです。ありがとうございます。


さて、ブログをしばらくあけてたのは今回の台湾旅行の記事を真っ先に書いておこう…と思いつつ台湾旅行の影響でばっとハマってしまった事があってそちらに時間を取られていたのが大きい。その事については記事の後ろの方で書く。


台湾旅行は2月22日〜24日の2泊3日。今回は母と一緒の二人旅。
大阪旅行は丁寧に1日ずつほぼすべての行動を書いたけど、今回の旅行はこの1記事でまとめる。全然写真がなくてびっくりしている。


台湾には以前から行きたかった。沖縄からだと東京に行くよりよっぽど近いし、高校生の頃からちょこちょこ中国語を勉強していたのもあって。

学生時代には関東から帰省するついでに台湾によって帰ろうかなとか考えたりしつつ、結局バイタリティが足りなくて諦めたりしてた。

沖縄にUターンしてからは母とも行きたいねという話をしてて、実際母のパスポート取得も進めていたのだが、コロナ禍に突入してしまってずいぶんお預けをくらっていた。

そうこうしているうちに、なんやかんやあって弟が台湾に留学することになり、いよいよ台湾に行きたいね〜、気軽に渡航できるようになったら行こうね、と言っていて、ようやく今回実現したのだった。

今回の旅行では旅行会社のフリープランツアーを利用。個人手配よりも費用が抑えられそうだったのと、実は海外個人旅行は私も母もしたことがなかったので安全策をとろうとした形。結果としては、お得はお得だったんだろうけど中途半端に自由が効かなくて、100点満点ではないな〜…というところ。台湾なら日本人の海外旅行難易度かなり低いというのも実感したのでなおさら。次回は個人手配でいくと思います。

1日目:故宮博物院士林夜市

飛行機はお昼ごろに到着の那覇→桃園のエバー航空便。

1時間半くらいの短時間フライトながら一応機内食が出る。往復ともにパンと飲み物だった。

桃園国際空港から台北市内へは旅行会社の送迎車で向かう。車内でサクサクとe−simを設定。KKday経由で買っていた。便利。

道中、パイナップルケーキの専門店(?)に車を寄せられる。何種類ものパイナップルケーキを断れない感じで試食し、どこも観光していないうちに割高ではと思いつつ一箱土産を買ってしまう…美味しかったけれども……。この時点で次回は中途半端フリープラン辞めようと心に決めている。

どうにかこうにか台北市内のホテルに到着。
今回の宿は西門駅すぐそこのミッドタウンリチャードソン(徳立荘酒店)。


まだ春節の期間中だとのことでランタンフェスティバル的なことをやっていた。ここは3日目の朝に散歩することになる。

この日の第一の目的地は故宮博物院機内食とパイナップルケーキ試食で昼ご飯状態になってしまった。本当は「旅先でとりあえずマックに入る」悪癖をしたかったのだが(海外旅行ならご当地メニューあるから意味もあるし…)母に付き合ってもらうのもアレだったので良かったかもしれない。時間もなかったので結果オーライ。

西門駅からMRTに乗っても良かったけど、せっかくだし街の雰囲気も味わおうよということで台北駅まで徒歩で行ってみる。当然だけど中国語だらけで、でも繁体字だから意外と読めてしまって、大都会なのにどこか沖縄っぽい雰囲気があって、なんとも不思議な感覚だった。


台北駅構内で迷子になりつつ、MRTのレッドラインで士林駅へ。台北MRTはわかりやすくてすんなり乗れたし、運賃が安い。東京の複雑怪奇な電車より圧倒的気楽さ。情報どおりアナウンスに台湾語客家語があって、おお、と思う。

士林駅からは路線バスで故宮博物院に向かう。こちらはMRTと違って路線が複雑で結構緊張したが、故宮博物院までの王道ルートなのでバス停に並んでる人の大半は同じ目的地である。とりあえず人の波に乗ってたら無事に降りられたので良し。


バス停から登っていくよ〜

歩き疲れてしまい茶をしばく。母子もろとも体力がない。

そんなことをしているせいで時間がなくなり、大慌てで観覧することになった。もし一人旅だったら一日ここで過ごす旅をしてたと思う。

全部見るのは無理なので、絞ってみていく。
まずはなにはともあれ玉コレクション。



かの有名な肉。白菜は貸出中だった。思っていたよりも小さいが思っていたよりも肉。美味しそう。

ほかにも精巧な品々にずっと感嘆の声をあげていた。どうしてわざわざ肉やら白菜やらを彫ったんだろ?と思っていたけど、加工の過程を説明する展示で途中経過を見て納得した。そもそも素材の石のグラデーションなんかがもうすでに白菜だ…。白菜を彫らないほうが失礼まである(?)。

玉の他には書のコーナーをじっくりめに見た。昔一応書道を習っていたことがあるので(あまり大声で言えない程度に不真面目な生徒だったから成果はないんだけど)、なんだか懐かしさもあり。

世界史の教科書で見たことあるような品々を眺めながら、すごいなぁと思いつつ、これらが今はこの台湾で展示されている歴史の流れにも思いを馳せつつ。次はもっときちんと時間を取って見学したいし、展示の中国語を読めるようになっていたいし、国立台湾博物館等の「台湾」にフォーカスした博物館にも行きたい。


閉館ギリギリに退館。来た道を逆にたどって一度ホテルに戻ってチェックイン。しばらく休んだあと、弟と合流した。

春節の装飾がライトアップされた街なかを歩きつつ、MRTを乗り継いで今日3度目の士林へ。

このへんは写真何枚か撮っていたけど人混みがすごすぎて画像の加工が面倒なので、これくらいしか当たり障りない写真がない。中国語をぺらぺら喋る弟におんぶにだっこでいろいろと食べ歩く。超観光地だから多分中国語できなくてもどうにでもなっただろうけど、語学、やろう。ほかにも食べてみたいものあったので再チャレンジしたいが人混みはキツかった。

2日目:九份・十分

2日目は少し足を伸ばして九份・十分を目指す。朝食はホテルのビュッフェ。饅頭がなぜだか嬉しい。

絶対九份の人混みがすごいのはわかっているので、朝一番の少しでも空いてる時間を狙うことにする。西門駅からも直行バスがあったが、時間をあわせたりするのがちょっと面倒なので台湾鉄道で行くことにしていた。単純に乗ってみたかったのもある。

のんびり普通列車で車窓を眺めているうちに瑞芳駅へ。そこからさらにバスに乗り継いで九份老街へ向かう。


朝すぎてあんまり店は開いてないがその分人も少なくて歩きやすいし、雰囲気もちょうどいい。

阿妹茶楼にもすんなり入れた。お茶も美味しかったです。

今回の旅行では母と一緒なのもあって寺院巡りみたいなことはあまりできなかった。リベンジしたい。


一通り満足して、お昼ごろには再び電車に揺られて十分へ向かう。瑞芳駅も小さい古めの駅でびっくりしたけど、十分はさらに小さく古い。利用人数に対して色々キャパが間に合ってないような印象。

母のたっての希望だったのでランタン上げをしたけれど、環境的にどうなんだろう…などとはどうしてもチラついてしまい。一人旅だったら多分あげなかったと思う。一観光客としては雰囲気は好きだなと思いつつオーバーツーリズムが気になったりもした。

電車が1時間に1本しかないので、待ち時間で牛肉麺を食す。比較的空いてたので注文程度の中国語チャレンジができてちょっとだけ嬉しい。あとから来た日本人観光客には日本語で声をかけてた。

台北市内に戻る。
間に合ったら中正記念堂の衛兵交替式が見たいと言っていたのだが、間に合わず。
しかしダメ元で行ったらちょうど国旗の降下式をやっていた。



西門に戻る。夕飯を求めて繁華街へ。都会だ…。「台湾の原宿」とガイドブックに書かれていた意味を理解する。東京旅行するときにわざわざ原宿みたいなとこで宿取らないし、これもフリープランツアーだからこその立地だった。


事前にガイドブックで目をつけてた店は閉まってたけど、小籠包も魯肉飯も食べられました。満足。

夜はベッドに寝転びながら、少し真面目に家族の話をした。

3日目:永康街散策

3日目。この日も弟と合流して案内して貰う予定。

朝食を早めに終えて、腹ごなしがてら近くの広場のランタンフェスティバル展示を見に行く。

夜行ったらもっと凄かったろうな。

弟と合流。
衛兵交替式を見れなかった話をしたら、時間ちょうどいいからと再チャレンジすることに。
何度か見に行ったことがあるらしく位置取りまで完璧な案内で見学できた。母は満足そうだった。

個人的には中正記念堂までいって展示部分は全く見なかったのが心残りなので、ここも再チャレンジしたい。

そのまま永康街へ。
母の希望で雑貨を探したり、お土産用にお茶を買ったり。

私は永業書店が楽しかった。何か欲しかったけどあんまりのんびりはできなかったのもあって細かくは探せず。日本のラノベやマンガの翻訳コーナーで『銀の匙』を見つけて1巻買ってしまった。

そしてホテルに戻ってツアー会社の人に拾われて、桃園国際空港へ。

空港でのんびりしつつ、夕方の便で那覇に帰った。

まとめとそのあと

中国語は全然できないけど、王道観光地ばかりを巡ったのもあってどうにかなった。繁体字のおかげで「発音も文法もわからないのに文意はなんとなくわかる」体験がいっぱいできて面白かった。漢字ってすごいぜ。

街なかにはちょいちょい(怪しい)日本語もあったりして、最近日本でも中国語や韓国語併記増えてるけどこんな感じなのかもな…とも思ったり。全然日本関係ない商品の看板にも「〜の◯」みたいに「の」が使われてるのを見てちょっと面白かった。

でも、中国語ができればもっと色々とストレスなく楽しめただろうな〜とも思う。

さっそく勉強したい気持ちが湧いてきて、勉強のモチベーションのために「原語で読みたい本」を設定することにした。英語の多読がその動機づけでいい感じに進んでいるので。

そこでふと選んでしまったのが墨香銅臭『魔道祖師』。台湾じゃなくて大陸の作家さんだけども(ただし表現規制のかねあいで『繁体字版で読む』が意味ある作品になっているのである種正解ではある)。

元々気になっていたのもあってとりあえずアニメ版を見てみたら面白くて、そこからがーっと陳情令をスピンオフまで見て原作日本語版も読んだりしていた。おかげでブログを書くのが今更になった。中国語わかりたいという思いと、中国での表現規制について考えてしまったりと、色々。


閑話休題
もっぱら一人旅が多かったので、連れがいる旅行は本当に久しぶり。正直個人的には消化不良感はものすごくある。もっとじっくり見たかったところがいっぱい。

一方で、自分一人だったら絶対行かなかっただろうなというところに行けたのは逆に良かったのかも。

台湾は近いし、また一人でじっくり旅したい。

【大阪旅行:2泊3日】〜3日目:四天王寺と古墳〜

最終日3日目。
この日も朝一番で炭水化物を肉吸いとミネストローネで流し込み、8時頃にはチェックアウト。

飛行機は夜の便。方角的にも途中の堺でじっくりのんびり古墳めぐりを…と思っていたが、急遽予定変更。朝一番で四天王寺によることにした。

前日に訪れた大阪歴史博物館の展示で触れられていて、実際に見たくなったので。

8時半から有料拝観開始ということで、オープン直後を狙って天王寺駅から徒歩で向かう。Goggleマップの案内に従うと庚申堂前を通って南大門から入るルートだった。住宅街から覗く五重塔が印象的。

まずは中心伽藍から。



朝一番ということもあって、他の人はごくわずか。静謐な雰囲気でぐるりとまわる。

ちょうど金堂の中を見ていた時、読経がはじまった。

敷地内のいたるところにたくさんの名前がおさめられている。私は典型的な沖縄人という感じで、家に仏壇はあれど仏教的なものだという感覚はほぼないまま生きているわけだが、敷地中にあふれる名前と、住宅街から覗く五重塔と、朝の静寂の中に響く読経とに、くらしに溶け込む信仰をひしひしと感じた。

五重塔の中にも入った。ここにもたくさんの供養のしるし。真っ先に思い出したのは、牛久大仏の胎内だった。塔と大仏とで外見は違えど、そこにあるのは同じだと思った。

もう一つ思い出したのは、以前ウクライナに行ったときに訪れた教会だったりする。


境内をぐるぐると。
これは亀の池の亀。あまりにも動かないので一瞬作り物かと思ってしまったが、水の中には傾斜をうまく上がれずもそもそしている亀がいたりした。亀の文鎮とても欲しくなってしまった(エンデ的にも亀には愛着が…)けれども流石にちょっと諦めた。


庭園の方も散策したり。宝物館にも行きたかったのだけど、閉まっていた。計画性のしわ寄せがここにも…。

義経のよろい掛け松を眺めて、前日に行った逆櫓の松跡からのつながりを感じる。

ひと通り眺めたところでもうすでに11時頃。宝物館に行けなかったにも関わらず想定よりも時間をとってしまっていて、急ぎ気味に天王寺駅に戻った。


そのまま、阪和線に乗り込んで堺に向かう。目的地は大仙陵古墳堺市博物館。最寄りは百舌鳥駅だが、荷物をロッカーに預けたいのと、空港までのアクセスを鑑みて、一度手前の三国ヶ丘で降りる。三国ヶ丘は2階の南海電鉄改札前にロッカーがある。

お昼をどこでとるか決めかねていた。三国ヶ丘の方が近隣の飲食店は充実しているが、とりあえず百舌鳥駅に向かうことにした。

百舌鳥駅から博物館へ向かう道すがら、さっそくこんもりとした古墳を見つける。



いよいよ来たぞと否応なくテンションが上がる。

お昼には古墳カレーにチャレンジしたかったのだが、お店が閉まっていたようだった(やっていたのかもしれないけど…)。


そこで、カレーは諦めて古墳バーガーに。
大仙公園内のこふん前cafe IROHA。

ボリューミーなバーガーの下のトレイも前方後円風。かわいい。



一息ついて、まずは堺市博物館へ。

流石に古墳関係の展示が手厚いが、そこを起点に今につながるまでの堺の歴史をざっと学べる、コンパクトだけど良い感じの博物館だった。

中でも須恵器を時代別に並べた展示などが圧巻の物量。古代から中世までへの連続性を感じさせるような展示だった。

お気に入りは失敗須恵器が並ぶ一角。



ぐにゃ…となってたり蓋がくっついちゃったり、窯自体が崩壊しちゃったり。うまくいかないことっていつの時代もあるよねぇ…。

所要時間40分くらいのはずが大幅に超過する。これでも一言一句読んだりはしてないのだけど、博物館の所要時間ってどうやって算出してるんだろう?どの博物館に行っても常に時間は足りてない。

ひとまず満足したところで外に出る。すぐそこの堺市茶室伸庵でお茶をいただくことにする。博物館で千利休の名前を見たりするとね…。

かわいいお菓子とお茶。
本格的なお抹茶をいただくのは多分初めてか2回目くらい。椅子席なのもあって気軽な感じ。でも、亭主役の方の所作がものすごく自然に綺麗で素敵だった。先客が退室したときには戸が閉まってからもしばらく礼を続けていたのを見て、いざ自分が退室するときにもこの戸の向こうにいらっしゃるのだなぁと感じていた。

いよいよ古墳に繰り出す。


大仙陵古墳の正面。


基本的には一番外の濠の更に外の遊歩道からしか覗けないわけだけど、この正面部分は一番深く入れるところだ。

ボランティアガイドさんから色々と話を聞く。だいたいは堺市博物館(と近大行ったときに読んでた本)で知っていた内容だったが、実際に「仁徳さん」と読んでいるのを聞いて感慨にふけるなど。

ここから半周して三国ヶ丘に戻る予定だったので、半周なら時計回りと反時計回りどっちがおすすめか?と質問して、それなら時計回りが良いと教えてもらう。万葉集の歌碑なんかもあっておすすめだとのこと。

一度反対方向のビジターセンターによって古墳みやげをちょっとだけ買い、歩き出す。

周囲は遊歩道が整備されているので、迷うことはない。古墳を常に右手に見ながらずんずん進む。

とにかくでかいし、道沿いだけでも次々と陪冢が出てくる。地上からみたらただの山と池にしか見えないんじゃないかなぁと思っていたが、実際見てみると陪冢の小さめの円墳でも、自然のものではないのが感覚的にわかるし、鬱蒼とした大仙陵古墳ももちろんそうだった。


ボランティアガイドさんおすすめの万葉集歌碑。



おそらくサギ?白い鳥と黒い鳥が並んでとまっているのが印象的だった。ほかにもいかにも鴨というビジュアルの鴨が泳いでいたりした。

大仙陵古墳に実際に埋葬されたのが仁徳天皇かどうかは考古学的には確かめられてないが、確実にその当時相当の権勢を誇っていた誰かなのだろうなというのは納得できる。そしてこの古墳が古墳時代から現代に突如現れたわけではなく、ずっとそこにあって人々のくらしの中に自然とあり続けたのだろうということも。

そうこうしているうちに、三国ヶ丘駅前に着く。もう少し時間があったので、眼の前のこ・ふんカフェへ。



古墳アイスで一服。かわいい。ほろ苦抹茶ソースたっぷりで美味しかった。

その後はロッカーから荷物を回収して、そのまま関空快速で空港へ。



これは空港での駆け込み551。豚まんは正直良くわからなかった(美味しかったけども普通においしいなという感じで)が、海老焼売は確かに美味しかった。

Peachはターミナル2、搭乗口はかなり奥。歩き回ってすっかり疲れており、腰に危機感を持ち始める。ついついマッサージチェアに課金しつつ、ラストの便で那覇に帰った。帰宅が遅くなりすぎるので欲ばらずにもう一本早くしても良かったかもと思いつつ、やりたいことは全部できたなと満足感も覚えつつ。飛行機の中で読もうと思って本を毎回用意するのに、毎回爆睡して半分も読めない。


以上、今回の大阪旅行の振り返り。
全然体力がないのに四六時中歩き回っているような観光をしたり、あちこちニアピンで逃したりと後悔は若干あるが、トータルでは詰め込みたいものを全部詰め込めた旅だった。

【大阪旅行:2泊3日】〜2日目:ハリポタと歴史旅〜

2日目の朝は東横INN恒例の朝食サービスから始まる。

この店舗の朝食は色んな種類のおにぎりとパン、そしてスープ類。ご当地メニューとしては肉吸いがあった。炭水化物をちゃちゃっとほうじ茶で流し込み、8時頃には宿を出た。


宿のすぐそこには駅名の由来にもなっている櫻宮があった。朝早いのと時間も気になっていたのもあって境内には入らず、外でササッと「宿を借りてます」と胸中挨拶するに留める。

そういえばこのあたりは造幣局の近くでもある。せっかくだから造幣博物館にも行けばよかったなぁと今更思ってもあとの祭りだし、ねじ込むスケジュールの余裕はなかった。


2日目の目標はUSJのハリポタエリアに行くことと、大阪城に行くこと。この2箇所は旅行前からぼんやり行きたいなぁと考えていた場所で、本当は大阪城を三日目にする予定だったのだけど、三日目には堺の方に行くことにしたので二日目にねじ込むことにした。自分の性格的に多分USJは短時間でリタイアするな…という予感もあった。


USJには桜ノ宮駅からユニバーサルシティ方面行きの電車に乗り一本で到着。とても便利。


開園直後に入れるように行ったもののすでに人でごった返しており、これがテーマパーク…と圧倒されながらハリポタエリアへ。


写真パシャパシャ撮っていたけど、人混みがすごすぎてブログに気軽に載せられる写真はほぼない。屋根しか…。

正直あ~テーマパークだな〜という雰囲気なのと細部が気になってしまうのもあって「映画の世界に迷い込んだ」というような感覚は薄いのだが、それでもやっぱりワクワクする。最近金ロー(のXトレンド)や多読の影響もあってハリポタ熱が上がり気味だったのでなおさら。

浮かれているのでマフラーなんかを買ってみたり。ハッフルパフとレイブンクローで少し悩んでハッフルパフを選んだ。

ハリポタはどちらかというと「自分があの世界の人間だったら…」という視点で読みがちな作品で、絶対ハリーたちには近づかんとこ…と思っているのもあってグリフィンドールとスリザリンは避けがち。勉強ができるレイブンクローに憧れつつ、善性の点でハッフルパフ生でありたいと思ったりする。ので、ハッフルパフ。

そして今回一番の目的は「杖を買うこと」。ハリポタのエリアができてから一度は来たかった理由の一番はこれ。

すでに行列が発生してしまっている中、いそいそとオリバンダーのショーに並ぶ。並ぶ前にバタービールを買えば良かったなぁと後悔しつつホグワーツを眺めて結構待つ。


オリバンダーのショーは雰囲気抜群、とても良かった。

気分を高めて杖店内へ。ひとつひとつ説明を読みつつ真剣に悩みに悩み、選んだ杖はこちら。

黒檀にユニコーンのたてがみ。
説明文が良かったのももちろん、デザイン的にも気に入った。でも一番は「黒檀」に惹かれたのかも…。黒檀(やグラナディラ)は個人的に"楽器の樹"のイメージだったりする。クラリネットやリコーダーの黒のイメージ。良い杖に出会えた。(なおマジックワンドだったが流石に一人で各所の仕組みを回る気力はなく、特に何もしなかった)






バタービールでひと休み。ここも結構並んだ。ホットが美味しい季節だった。キャラメルみたいな味?で普通に冬に飲みたい。今後バタービールの味を想像できるようになったのは大きい。

お土産を買い回りつつエリア内をぐるっと。カエルのショーや三校対抗試合のショーなんかも通りがかりで見たけれど人混みでほぼ何も見えなかったではある。フィルチの没収品店という設定の店が一番お土産類充実してたのがちょっと面白かった。

店員の親しみを込めてだったり世界観作ろうとしての一言に得も言われぬ歯がゆさを覚えて己のテーマパーク適性の低さを思い知る。でも流石にハッフルパフのマフラーを見て「ハッフルパフということはとても賢い…」みたいなことをいわれたらウウーンと思ってしまうわけで……。それはレイブンクロー……。

一通り満足して、程よく疲れ切って、お昼ごろには退場。旅行前には食事もパーク内で…とも思ってたけれども、パーク価格に強気にはなれずに諦めた。お土産は買いすぎた。


お昼はユニバーサルシティウォークで食べることに。とりあえずマックでささっと食べよっかなぁと思っていたところ、混みすぎていたので撤退。途方に暮れて案内板を見ているとたこ焼き食べ比べのフードコートを発見。せっかくなのでたこ焼きにすることに。

甲賀流のソースマヨとねぎポンのハーフ。美味しかったです。


USJを出て、次は大阪城…の前に、福島駅で降りる。

目的地はここ。

逆櫓の松跡。
平家物語の『逆櫓』で、景時と義経が言い争ったのがこの辺、とされている場所。道沿いにひっそりと説明板がある。

ここは前日、せっかくだしもっと行ける場所ないかなぁと検索していたときに見つけた。平家物語が好きなので、こういうのを見つけたら寄りがち。

逆櫓の松跡の隣には喫茶ウィンブルドンがある。このお店では逆櫓の松跡にちなんだオリジナルケーキを提供しているというのも他の方のブログで見かけて、これを食べるのも目的だった。抹茶味の生地であんこを包んだケーキ。甘すぎず美味でした。

他にもオリジナルケーキを色々とやっているようで、近場でやっている美術館の展示に合わせてモネをモチーフにしたケーキもおしゃれだった。オリジナルケーキを注文すると、売上から一部が能登地震義援金になるとのことでした。レトロな雰囲気で素敵なお店だった。

福島駅に戻り、いよいよ大阪城へ。天守閣と大阪歴史博物館のはしごを狙っていたものの、天守閣入場の列にこれは無理だな…と察して天守閣の方を諦めることに。

ここまで行っといて天守閣に登っていない、無計画すぎる。

本土のこういうお城に行ったのは多分これが初めてだと思う。大河ドラマ歴史小説で見ている色んなつくりや距離感がなんとなくわかって面白かった。


天守閣は諦めて、そのまま大阪歴史博物館へ。この時点ですでに15時過ぎており、絶対間に合わんなこれは…と察し始める。
二兎を追う者はなんとやら。



大阪歴史博物館難波宮跡に隣接しており、難波宮推しの展示という印象。難波宮大極殿の再現展示から難波宮跡を見下ろせるのが良かった。

難波宮舞台の歴史小説とかなにかあるかな、読みたいな~と思いつつ2フロアめに向かったがここでタイムアップ。閉館時間になってしまった。計画性が無さすぎる。

不完全燃焼感を抱えながら、隣の難波宮跡に寄っていくことに。

難波宮跡は公園として整備されている。柱や濠のあとにタイルや目印が設置されている状態。スケール感はわかる。

大極殿跡から公園内を見渡す。
ここに限らずだが、こうやって日本史の教科書にでてくるような史跡にいると、あぁ、本当に地続きなんだ、と感じる。沖縄にいると、正直(琉球が絡まない部分の)日本史も世界史もそんなに変わらない感覚だったりするから。どちらも物語の世界のようで、あまり実感がわかない。

大阪城の戦国時代も、難波宮の飛鳥・奈良時代も、確かに今につながる歴史であって、この足元の地面を歩いていた人たちがいるのだと、強烈に感じられた。


さて、荷物は大阪城公園駅のロッカーにおいてあるので、そこまで帰らなくてはいけない。歩きたくなくて大阪メトロ谷町四丁目駅から地下鉄で天王寺駅にいき、環状線で公園駅に戻る大回りをする。夕飯を天王寺で食べてから行こうか…と思いつつ、一日中歩いていたので体力は限界であり…。結局、大阪城公園駅のすぐ近くのタリーズでホットドッグを食べて、桜ノ宮駅に帰り、近くのローソンでパリチキとぬか漬けを買った。

3日目に続く。

【大阪旅行:2泊3日】〜1日目:近畿大を訪ねる〜

2月10〜12日、三連休を利用して初めての大阪旅行に行ってきた。

ここ数年、コロナの影響もあってあまりガッツリとした旅行はしておらず、全くはじめてのエリアに行ったのは多分5年ぶりくらい。最後は学生時代住んでいた茨城から離れる道すがら、鹿島神宮に行ったときだと思う。思えば学生時代にもっとあちこちに行っておけばよかった。


今回の旅行の第一目的は『近畿大学を見に行く』。今、司書課程は残りメディア授業の試験結果待ちというところで、手応え的には合格できている…と思う。特になにか手続きが必要だったりというわけでもないのだけど、せっかく学生証があるので、中央図書館とアカデミックシアターを一度見学に行きたかった。学籍が切れる前に…ということでこのタイミングで行くことにした次第。

それ以外の予定はほぼ決めず、あと2ヶ所くらい行きたい場所をぼんやり考えつつ飛行機と宿を押さえて、あっという間に旅行当日に。


今回の飛行機はPeachの朝イチ関西国際空港行き。朝イチといっても到着はほとんど12時前で、Peachは第2ターミナル発着なのもあって空港を出るまでに半日以上は過ぎてしまっていた。

まずはとにかく近畿大へ行こう、ということで、関空快速で鶴橋へ向かう。ここでJR西日本管内だということを思い知らされる(今更)。Googleマップを見ながら改札口を探したものの、駅ナンバリングの表示アイコンがJR東日本とは違うということに思い至らず、JRじゃないんだな~とぼんやり思いながらウロウロしてしまった。ようやく気がついたあとも無意識に緑色の看板の類を探してしまい、未知の土地だ…と慄きながら(?)関空を脱出した。


鶴橋までは1時間くらいかかった。ぼんやり車窓を眺めていると、家のつくりや遠くに見える山の高さに、あぁ本土に来たんだなぁと実感が募る。

電車内で堺市博物館の広告を見つけた。古墳気になるなぁと思ったところで堺市駅につき、通り道ならということで帰りに寄ることをここで決めた。計画性はないがその分融通はきく。


鶴橋で近鉄大阪線に乗り換え、長瀬駅へ。長瀬駅は思っていたよりも小さくて、大規模な私大の最寄りでもこんなに小さい駅なんだなぁと驚きつつも、そういえば駒場東大前駅なんかも小さかったよねぇと謎の思い出しをしたりもして。


時間はもうすでに14時。本当は学内で土曜も営業しているラーメン屋・近大をすすらんか。に行きたかったのだけど、営業時間に確実に間に合わないので大学通り周辺の飲食店に入ることに。











近大前商店街から西門が見える。

休講期間の土曜だから人はかなり少なかったけれど、授業のある日は学生でごった返すのだろうなぁなどと思いながら歩く。

角の古本屋、気取らない飲食店、飲み屋に雀荘。母校の周辺とは全く違う密度の高さの学生街の雰囲気がよかった。

お昼は道中の麺屋こころへ。結局チェーン店に入るんかい、というところだけども松屋に入らなかっただけで褒めてほしい、塩まぜそば美味しかったです。

まぜそばで学生気分になったところでいよいよ近大へ。


これは帰りがけのときにとった写真だけど、学内はかなり綺麗という印象だった。ただ、構内の案内図的なものはちょっとわかりづらく…。



目的第一、中央図書館。10階建てほどの細長い茶色の建物。

1フロアずつがかなり狭いことに驚いた。そこらの大きめの教室くらいかな?という広さの中に、通常の書架と集密書架とが並んでいる。そんな感じのフロアが約10階分。キャンパス内各所に分野ごとの分室があるとのことだったから、学生はうまく使い分けているのだろう。

図書館情報学関係の棚も流石に広めで、ざっと背表紙を見ていると、やっぱり今後ももっと勉強したいなぁと思ったりした。たとえ司書や図書館員を仕事にはできずとも、せずとも、もうちょっとこの勉強をしてみたい。その先に仕事があれば尚良い。もう少し足掻いてみようかなと思えて、このためだけでもここに来てよかったと思った。

図書館情報学関係以外でも、あの本もこの本も読んでみたかった。大学時代に図書館の本をあまり読めなかったのがものすごく悔やまれる。どうにかこうにか大学図書館を自由に使える状態にしておきたいので、色々と県内でも調べて見る予定。


次はアカデミックシアターへ。
これはアカデミックシアターの中にいたマグロ。




目的はビブリオシアター。
https://act.kindai.ac.jp/biblio-theater.html
印象としては博物館・美術館の展示や、図書館の展示の大規模版、という感覚を受けた。近大INDEXによる分類って実際どんな感じだろうと思ってたけれども、なるほどなという感じ。分類や分野の枠を超えてテーマ単位で集められた本たち。公式サイトの説明に書かれている通り、まさしく「実学の礎としてのリベラルアーツ」の思想をひしひしと感じる象徴的な空間でもあった。ただし方向音痴は迷子になる。

ふと目についたこの本を閉館まで読んでいた。

いよいよ百舌鳥古墳群に行きたくなる。三日目に絶対行こうと決めた。







18時に閉館。長瀬駅に戻り、そのまま宿へ。近大前で夕食を食べようかとも思ったけど、移動でかなり疲れてしまっていて、とにかく一回チェックインしてしまおうとスルーしてしまった。この選択は後々後悔することになる。


今回の宿は大阪環状線桜ノ宮駅京橋駅の間の、東横INN京橋桜ノ宮桜ノ宮駅自体は小さいながらも環状線の駅ということで交通の利便性は高かったものの、ホテルまでは結構距離があり、しかもホテル周辺はラブホ街(治安は悪いという感じではない)、コンビニも近くはなくて、正直不便だった。これは口コミ見ればわかることではあったので私の無計画さが悪いです。ホテル自体は東横INNなので間違いはないです。

京橋駅の方まで出る体力もなく、この日は這々の体で行ったコンビニで適当に買ったサラダと巻き寿司を食い、缶チューハイを1缶開ける。

2日目に続く。

読書体験を最高にするための儀式


これは昨日食べた星乃珈琲のスフレパンケーキ。

昨日はパンケーキを絶対食べると決めていた。なぜなら図書館で"Nate the Great"シリーズを読むと決めていたからだ。

ハードボイルド(風)探偵Nateの大好物はパンケーキ。ちらりと見かけていた感想からパンケーキが食べたくなる本だろうなと予想がついていたので、図書館に行く前に先んじてパンケーキを食べていたというわけ。ちなみに大正解だった。


こういう風に、読書体験を最大限最高にするための儀式のようなものをするのが好きだ。儀式のように本を読むのも。


一番シンプルなのは今回のNateとパンケーキのように、作中に出てくる食べ物や飲み物を用意すること。

例えばThe Thiefを読んでいた間はどうしても食べたくなってオリーブの瓶詰めをわざわざ買ったり、朝食をヨーグルト・パン・チーズで固めたりしていた。

ただしこの方法は作品によってはぐっと難易度が上がる。例えば『月神の統べる森で』を読むとジビエかドングリやユリ根が食べたくなるが、なかなか気軽には揃えにくい。レイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』もたんぽぽお酒ってどんな味なんだろう…とずっと想像している(ただしこの作品はアイスクリームやレモネードでも最高になれる)。

作中に特に印象的に出てくるわけではなくても、「この作品を読むときはこういう飲み物を合わせる」みたいなペアリング(?)もあったりする。DWJ作品、特にクレストマンシーを読むときはサンドイッチとミルクココアか紅茶がいい。ル=グウィンを読むときはなんとなくコーヒーが良い。長野まゆみ作品はサイダーの気分になりがち。

ル=グウィンの『ゲド戦記』『西のはての年代記』を読むときは、ついつい環境にこだわりたくなる。季節は冬がいい。座り心地の良い椅子の上に身を丸めて、毛布を巻き付けて、サイドテーブルにコーヒーを置く。静かにイヤホンで手嶌葵の歌をかける。外は曇り気味がいい。特にゲド戦記は沖縄で読むのと関東で読むのとで体感が違う、多分きっと潮の気配のせい。


儀式的に読む本の代表がレイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』だ。この本は夏の間に読むのが一番良い。エアコンを入れない暑さの中で、汗をかいたレモネード、合間合間にアイスクリーム。少しずつ読み進めるのが一番最高だろうけど、だいたいいつも夏の終わり頃に読んでいる。ダグラスといっしょに夏を終わらせる儀式をするのだ。ブラッドベリは他にも10月頃に読みたくもなる。



あまり儀式をガチガチにやろうとしすぎると逆に本が読めなくなってしまうのでほどほどにしたいなとは思いつつ。この読書の体験づくりがぴたっとハマった時、なにものにも代えがたいしあわせがある。

Megan Whalen Turner『The Queen of Attolia』(Queen's Thief 2)

どうにかこうにか読み終えました、2巻。
シリーズものはまとめて感想を書きがちだったけど、流石にこのシリーズは1冊ずつ書くと思う。なんせ約半月かかって読んでいるし、英語多読の記録も兼ねて。


アドベンチャーの1巻とはずいぶん雰囲気も打って変わって、政治と戦争を巡る第2巻。確か日本語での初読のときも、全然違うじゃん!とびっくりしたのを覚えている。語り手は「おれ」じゃないし、開始すぐに右手を切り落とされるどん底スタートなのが衝撃的だった。

1巻は前半がプラスに向かう雰囲気の比較的明るくライトな冒険で、50%付近で急転直下悪くなるという感じのストーリー構成だが、2巻は前半でいきなりズドンと落ちて苦しい展開が続き、50%付近で状況の変化が起きる。日本語でも前後編にちょうど分かれているところのはずだけど、命令が「アトリアの女王を盗んで」に変わるところ。そしてこの命令が、最終的に二人が結婚するところまで繋がっていく。アトリアの女王の物理的な誘拐はナフレセシュ(とそれを導いた神々)によって失敗するけれど、最後の最後、エウジェニデスは真の意味で女王の心を手に入れる。

2巻は印象的なシーンが多い。
例えば手を切り落としたあと、アトリアの女王が「割ってしまったお気に入りの髪油の壺」を思い出すところ。目の前の不可逆的な傷に重ねるのがその幼少期の記憶なのに悶絶するが、後半に行くにつれてそれがただの物理的な喪失の記憶なだけでなく、イレーネの幼少期の終わりと石の仮面の誕生に繋がっていく決定的な終わりの象徴だったのだと気付かされていく。これは中盤、自分を誘拐しに来たエウジェニデスがすっかり変わってしまったのだと思うところと、最後のシーンで自分の石の仮面がもう自分と不可分になっているところまで貫かれるイメージになる。

何かを失った時、何を得るのか。何かを得た時、何を失ったのか。それぞれの獲得と喪失の物語。

エウジェニデスは右手と自由を失って、最終的にイレーネの愛と2国間の平和を得た。
イレーネは幼少期の頃のようには戻りようがないが、アトリアを自ら治め守るだけの力とエウジェニデスからの愛を得た。
ヘレンはエディスの盗人を失って、アトリアとの平和と予知された破滅を避けるための布石を打った。

他にも、ソウニスに帰れなくなったメイガス。へスピラの挿話。エウジェニデスが盗んでは祭壇に捧げてきた(二度と取り戻せなくなった)ものたち。失われた命たち。振り返ればあちこちにたくさんの"喪失"が散りばめられていた。かわりに何を得たのか、それともそれは本当に不可逆的喪失なのか。過去一この巻をしっかりじっくり読めた気がしている…。


英語の面。
1巻から立て続けに読んでいるので、引き続きよくでてくる単語も見慣れてきてぱっと意味が取れるようになってきた。そういう点では1巻よりも楽に読めたと思う。若干の成長を感じる。

1巻に比べるとぐっと政治的な話が増えてくる分、内容的には難しく感じる。細かい戦況や策略は正直結構飛ばし読みをしてしまった。日本語でもぼんやりしか覚えてないし…。

それでもストーリーの機微は味わえるぐらいには読めていたし、何よりおまけの未邦訳短編"Knife Dance"を読めたのが本当に嬉しかった。ごく短編だけどもこの先未邦訳巻にたどり着けたらこんな感じなんだなと想像できたしモチベーションもあがる。こういうちょっとした本編の狭間の話、大好き。

Knife Danceの登場人物たちの喋り方が本編の登場人物たちのセリフとはだいぶ感触が違うなというのもばっちり感じられて、こういうところでキャラ性を感じるんだなぁと思うなど。

多読の記録としてはこの本で約10万語を稼ぎ、トータルでは35万語ぐらいになっている。GRはOBWのlv.2に入りつつ、合間合間でMTHを読み進めているところ。

通勤時間に読む枠としてのQueen's Thief読み進めはここで一旦休止して、Oxford Reading Clubを今日はじめた。噂のORTをざーっと1ヶ月のアクセスコードで読み切ってしまおうかと。

一応もうOBWのlv2読めているんだから今更ORT読む意味ないのでは…?と思わなくもないんだけど、MTH読んでいるとやはりネイティブ向けのもう少し易しいところで積み重ねてたほうがいいんでは?と思う部分も若干あり。スピードアップにもなればいいなぁという思いでひとまず1ヶ月やってみます。ORCについてはまた別で感想を書きたい。

3巻"The King of Attolia"を読むのは少なくとも多読語数が50万語を超えてからにするつもり(Queen's Thiefで稼いでしまった17万語ぐらいは除外して…)。ほかの簡単めの児童書ももっと開拓していきたい。