つかのま。

読書と日々考えたこと

ラルフ・イーザウ『ネシャン・サーガ(1)ヨナタンと伝説の杖』(コンパクト版)

エンデを読むとイーザウも読みたくなる。とりわけはてしない物語のあとにはネシャン・サーガの気分になる。

今回は持ち運びやすいコンパクト版で。分厚い本で一気に読むのもいいけど、サクサク手軽に読めるという点ではコンパクト版もありがたい。


読み返すのはとても久しぶりで、実はあまり覚えてはいない状態だった。はてしない物語からの流れはもちろん、偶然にも別口で関心の波が来ていた聖書関係にもつながる(はてしない物語もエンデのキリスト教的な部分が下地にあるとも感じている)。


はてしない物語との接点を感じる部分はいくつかある。(なお、これを書いてる時点ではネシャン・サーガはコンパクト版①しか読み返していないので色々ズレている可能性はある)

■ファンタジー世界の少年と現実世界の少年
ヨナタンとジョナサン、アトレーユとバスチアン。ヨナタン・アトレーユはいかにもヒーロー的で、勇気があり、強くて賢い。ジョナサン・バスチアンは足が不自由だったり運動が苦手だったり、いかにもな"ヒーロー"像からは外れている。それぞれの世界が重なり合って影響を与え合う様が似ている。

■父と子の物語
はてしない物語はバスチアンとお父さんの関係性に帰着する。ネシャン・サーガも随所に父と子がある。ヨナタンと養い親、ジョナサンとお父さん(とそのさらにお父さんとしての祖父)、そしてネシャンにまつわる神話も神の父子の話になっている。

ぱっとあげられるところがこのあたり。


父と子の物語である、というのもキリスト教的な価値観も関係しているんだろうか?ネシャン・サーガは直接的に聖書の話を扱っており、かなりキリスト教の話がテーマとしてある



エンデの流れで読みたくなるものの、読んでいるときの感覚はそこまでエンデと似ていない。はてしない物語が好きだという人には好きなポイント次第で勧めるかな…という感じだけど、例えばエミリー・ロッダのローワンシリーズが好きだという人にはより勧めやすいかもしれない。


コンパクト版で少しずつ読み返していこうと思う。今日はうっかり図書館の利用者カードを忘れて借りられなかった。