つかのま。

読書と日々考えたこと

ペーター・ボカリウス『ミヒャエル・エンデ:物語の始まり』

先日、長崎出版版『影の縫製機』を図書館に借りに行ったとき、たまたま近くにあったので借りてきた。

ミヒャエル・エンデが『ジム・ボタン』で児童文学作家デビューするまでの前半生を、友人のペーター・ボカリウスがまとめた伝記。生き生きとした描写でこの本自体が物語のような感覚で読めた。

ボカリウスはジャーナリストであり、エンデの人生を追うだけでなく、その時々の取り巻く世界の様子を新聞の引用などで重ねていくのが印象的だった。そのおかげでより立体的にイメージできる。

エンデの幼少期の経験や触れてきた思想、描かれる人物像を見ていると、エンデ作品の雰囲気の背景に納得がいくようで面白い。あちこちで断片的に触れられていて情報としては知っていたことも多かったけど、こうやって一本の物語のように読むと整理がついてわかりやすい。人間だなぁ…と思うエピソード多数。

この本を読んで受けるエンデの印象は、『自由の牢獄』の各主人公たちみたいだな、と思ったりした。『自由の牢獄』が好きだからそう思うだけかもしれないけど。女性を不幸にしながらの"危機の時代"はシリルの面影を垣間見た気がしたりした。これからエンデ全集を読み返していくにあたって、より違う角度で読めるんだろうなと感じる。

エンデが影響をうけた思想や文学などについてもあれこれ触れられているので、できるだけ追っていきたい。読んだことがあるタイトルが出てくるとちょっとだけ嬉しくて、実績解除していきたいね。サルトルとか、読もう。

来年の夏にはミュンヘン中心にドイツ旅行に行こうと思っている。その時にもまた改めて読み直したい。