ハウツー本というよりは「児童文学作家を目指す人のための心構え」をエッセイのような語り口でまとめた一冊。
付録として著者の短編作品『トロイメライ』を例に、構成や表現、こめたメッセージなどを解説した部分があり、ここはかなり技術的にも参考になり、興味深い。
発売直後に買っていた本をなんだかタイミングがなくて積んでいたのを、昨日、エンデの「ポジティブなユートピア」と児童文学のブログを書いていたときに、ふと思い出してパラパラめくり、そのまま勢いで読み切った。
tsukanoma.hatenablog.jp
私が『シェーラ姫の冒険』や『さやかに星はきらめき』から受け取っていた祈りがそのまま言語化されているように感じて、嬉しかったし、昨日のブログも自信を持って書けた。私が昨日のブログで書いたようなことは、だいたいこの本に書いてあります。
作例の『トロイメライ』も、まさに今のタイミングで読むのにすごくよい作品だった。昨日のブログでも触れた戦争の雰囲気のこともそうだけど、ちょうどたつみや章(環境問題をテーマにした作品が多い)を一気読みしていた流れだった、という超個人的なタイミングも合わさって。
いまの時代の子どもへ、この先の未来へ、手紙を書くように物語を綴り、置いてゆく――それが子どもの本を書くという仕事です。
あぁ私はそういう児童文学が好きだなぁ、と思ったし、その手紙を受け取って育った子どもとして、改めてお返事をしたくなった。実際、こういったブログを書いたりすることを通じて村山早紀先生にも読んでいただけたり、Xでもコメントをいただけたりしていて、お返事ができたような気がしている。まだ何もできなくて泣く日もあるけれど、あなたのお手紙を忘れないで大人になりましたよ、と。たつみや章先生にもなんだかとっても感謝を伝えたいなぁと思っていて、『月神』を講談社文庫で出してください、というリクエストついでに、講談社あてにお手紙でも書いてみようかなと思っている。
主役の存在しない舞台で、数知れぬたくさんの脇役たちがそれぞれに精一杯生きている、それがこの世界です。
この言葉がすごく好きだ。
先日の『新シェーラ』の記事で「みんな主人公」という台詞がよい、と書いたけど、私の実感としてはこっちの表現の方がよりしっくり来るのだった。
学生の頃、私は主人公どころか背景に描写されてりゃラッキーなモブだなぁと思ってしまうことが度々あって、どこにもいけないような気持ちになってしまったことがある。そんな私が大好きだった本が『ファンタージエン 愚者の王』。世界を救えないとメタ的にわかっている女の子が、世界を救うために旅するお話。この本の話はまたきちんと読み返しをしてから別でしたい。なおこの本を読むためにはその前に『はてしない物語』を再読するという儀式を行うべきなのでだいぶ重い。同様の「世界のモブ」に関する描写としてはあんさんぶるスターズもなかなかだと思っています。
私も昔、小説家になりたかった。いくつか物語を書いていたけど、厳しい道だと早々に知って、夢という名の呪いを背負いつづけるほどの覚悟はなくて、諦めてしまった。多分性格や能力的に適性もあまりない。
今もやっぱりいつかは職業作家に…という夢は見れないなぁと現実的に思いつつも、そういう物語を書いて、誰かに読んでもらえたらいいなぁとはちょっと思っていたりもして。幸いにも「子どもの頃の私が読みたかった物語」にはすでに素晴らしい作品が山ほど在って、私は子どもの頃にきちんと出会えていたので、私が書く必要なんてないかと思っちゃったり、何を考えてももっと優れた既存の作品が思い浮かんでしまったりもするけど、何か一つぐらいは書いてみたいな。今年の目標の一つにしてみようと思う。
