つかのま。

読書と日々考えたこと

たつみや章『夜の神話』

今日は久々に、一日中ただただ本を読むぞと決めて図書館にいた。調べ物や勉強目的ではなく一日中いたのは久しぶり。

児童書棚ではいろいろと懐かしい本、読んだことない面白そうな本が山程あった。あれこれと迷いつつ、今日はこの本に決めた。

『夜の神話』最後に読んだのはいつだろう?多分高校生の時かな。中学生かも。直近(とはいえ2024年初ですが…)に『月神の統べる森で』シリーズを全部読み返していたので、たつみや章作品自体はそれほど久しぶりではない。物語ももちろん好きだが文章自体もすごく好きなんだよなぁと思いながら読んだ。

改めて読んでいると『夜の神話』の主人公・正道は『裔を継ぐ者』のサザレヒコとなにかと似ているのかもしれない。目が曇り、歪んでしまった子ども。展開も少し似ていて、ツクヨミさまに会いに行く決心をしつつも「いなかったらいいな」と思ってしまうあたり、オオモノヌシのシクイルケに会いに行こうとしているときのサザレヒコを思い出したりした。

月神』だと月の神といえばシクイルケ(厳密にはその父神だけど)のイメージなので、ちょっと頑固だけど達観しているというか、穏やかでやさしい印象だけど、『夜の神話』のツクヨミさまは根っこは同じくやさしく人のことも好きながら、もっと冷たく鋭い部分も出ている感じ。月神で言うなら若干オオモノヌシっぽいような。うさぎのマサミチや闇鬼になってしまった子を抱きしめるくだりの美しさとやさしさ。

ツクヨミさまの恐ろしげな態度も、はじめからのものではなくこれまでの人間との関わりあいの結果。月うさぎが闇鬼になってしまったのも、寂しさをこじらせた結果。村山が標本の数を誇ったのも、"知らなかった"から。月神の様々なキャラクターもそうだけど、"悪しき"態度について「目が曇っている」というような状態・表現なのが結構好き。

物語の中心は原子力発電について。初めて読んだ頃は小学生だったのであまりよくわからなかった。その後多少知識がついてチェルノブイリのことを知ったり、福島第一原発事故が発生したりしたときに、頭の片隅に浮かんでくる作品だった。原子炉の危険性を語りつつも、その現場で必死に働く人たちを描いているのも印象的。多分今後もことあるごとに思い出すことになると思う。手元においておきたい作品のひとつ。買おう。

しかし、本当に久しぶりに「〇〇のために」「〇〇しなければ」抜きで図書館にこもり児童書棚を歩いた。ちなみに絵本落乱とアニメ絵本忍たま乱太郎をありったけ読んでもいた。家で布団にひっくり返って読むより断然集中して一気に読める。定期的にこういう時間を作るようにしたいけど、なかなか時間が取れない。次できるのは夏季休暇かなぁ…。